島の課題を挑戦と愛の力で「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」

Report
2023.12.06

スタートアップ企業等の斬新なアイデアや優れた技術を活用して島しょ地域の振興を促進するために東京都主催による事業「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS(以降、本事業)」がスタートしました。採択を受けた6つのスタートアップが伊豆大島、利島、新島、式根島、神津島をフィールドとする事業展開に向けて関係機関がサポートをしていきます。そんな中、Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGOも会場を提供するなどして本事業に協力をしております。今回はそんな活動の入り口となる現地見学の様子をレポート。まずは本事業についてご存知でない方に簡単に事業の概要をご説明したいと思います。

「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」とは

本事業は、東京の島しょエリアの魅力向上や地域課題の解決を目的として、スタートアップや個人事業主等による島しょエリアでのビジネス展開を支援するプログラムです。島の思いに共感し、可能性を開いてくれる事業者を対象に、令和5年度は伊豆大島、利島、新島、式根島、神津島の5つの島を舞台に事業展開を目指すスタートアップに対して事業がよりスムーズに前進するようにサポートをしていくプロジェクトです。

具体的な支援として掲げているのが、以下の4つ

  • 相談/対話
  • 地域パートナーの紹介
  • 事業実施場所の提案
  • 情報発信

資金的な援助や専門的知識等のテクニカルな支援というよりも、事業者と島の想いに寄り添い、事業者と島との間をスムーズに繋ぐために必要となる支援に力を入れている点がポイントです。まさに「近隣、近所、近くに住む人々のコミュニティ」といった意味を持つ「NEIGHBORHOOD」に、「ISLAND(島)」を掛け合わせてつくられた造語である「ISLANDHOOD」というネーミングに本事業に対する思いが込められていて島や地域、そして関わる方々への愛を感じます。そんな事業の支援対象事業として今回6つのスタートアップが採択されました。

TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS 採択事業者紹介!

東京の島しょエリアの魅力向上や地域課題の解決を目的として、スタートアップや個人事業主等による島しょエリアでのビジネス展開を支援するプログラム「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」。先日、書類審査と面接審査を経て、数ある応募事業者の中から採択企業が6社決定いたしました!今回は採択された6社のご紹介となります。どんな事業者が採択されたのでしょうか…?

レポートの本編はTOKYO ISLANDHOOD with STARTUPSの公式noteの記事をご覧ください。こちらの記事では「東京都離島区」編集部でWELAGOスタッフでもある千葉が、現地見学においてオリエンテーリング・懇親会を行ったWELAGOでの会場の様子や新島への同行取材を行った際のこぼれ話などをレポートしていきます。

「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」島しょ訪問レポート

採択事業者も決まり、いよいよスタートした「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS(以降、本事業)」。今回はそんな活動の入り口となる対象島しょ地域(大島・利島・新島・式根島・神津島)現地見学の様子を、東京諸島の未来を考えるWebメディア「東京都離島区」編集部の千葉がレポートします。

WELAGOで繰り広げられた熱いプレゼン&懇親会

現地見学の初日は採択事業者6社と運営事務局及び関係者が伊豆大島に入りました。行政をはじめ各関係機関へのご挨拶・意見交換を経て、WELAGOにおいてオリエンテーリングとしてそれぞれのスタートアップからのプレゼンテーション、懇親会が行われました。

会場には大島町、商工会、地元金融機関の関係者の方々など様々な方が集まり、スタートアップの皆さんが取り組む事業について真剣に耳を傾けていました。

プレゼンテーション後に行った懇親会では東京諸島が誇る伝統珍味「くさや」に皆さん興味津々。その独特な風味に期待通りのリアクションをしてくれる方、意外といける!と味わい尽くす方、様々な反応が伺えてこちらも大いに楽しませてもらいました!

そんな東京諸島でしかつくることが出来ないくさやも後継者不足により製造業者がどんどん減少しており、消滅の危機にあります。以前は当たり前にあったものがそうではなくなる状況がすぐそこで起ころうとしている。そんな島の現状からも目を逸らさずに一緒に考えていけるような関係性や仕組みが生み出せたらと思いながら1日目が終わりました。

翌日は新島へアイランドホッピング

2日目からは各事業者がそれぞれ関心のある島々へと向かいました。私は新島へ向かうメンバーに同行しながら引き続き現地見学の行程に参加しました。

スタートアップの方々と現地の方々との交流や意見交換の様子は公式noteの記事をご覧ください。こちらでは、新島村商工会の下井さんに新島をご案内頂いた際の様子をご紹介したいと思います。

島を俯瞰して眺めることで、さらに開けた展望

新島村役場・新島村商工会での意見交換を終えた後、私は国産ドローンメーカー、エアロセンス株式会社の嶋田さん、事務局の中川さんとともに下井さんにご案内いただき島内巡りへと出掛けました。

最初にご案内いただいたのが、新島屈指の絶景スポット「石山展望台」。コーガ石採掘場の先に広がる大パノラマはいつ来ても素晴らしい。嶋田さんの注目ポイントは式根島までの距離。こうして眺めてみると実際の距離感が一目瞭然で、この距離であれば自社のドローンで十分物流に貢献できそうだと大きな感触を得たようでした。嶋田さんは自社のドローンを活用して島の課題の一つである物流の利便性を高めようと今回の事業に参加されました。地域の課題をテクノロジーや発想力で解決していくことは、実現できるか分からないサービス化までのプロセスの中で、終始不安が付き纏いながら試行錯誤を繰り返していく茨の道のようでもある一方、気づいたら時間を忘れてしまうくらいワクワクする充実した時間でもあるのです。

続いて訪れたのは島の南端、ミサイルなどの誘導武器の発射試験を行う新島試験場を見下ろしながら、その先に無人島の早島(はんしま)、遠くに三宅島や御蔵島を望む見晴らしの良い場所へ。どんより曇っていた空が次第に青空へと変わり、陽が差し込みはじめると、海の色がクリームソーダ色の美しいグラデーションへと変化し、新島らしい風景が広がりました。

最後に向かったのが大峰展望台。ちなみに、現在の新島の形が形成されたのは西暦886年のこと。島の南部の向山の噴火によって新島の大地の大部分が形成され、現在の姿になりました。「新島」という名前の通り、実は新しい島なのです。そんな様子をここ大峰展望台の眺望から想像することができます。ここは東西の海が一度に見られる展望台で、左手に本村集落、右手に新島空港や羽伏浦海岸が広がり、正面のその先に新島最高峰の宮塚山(432m)が望めます。本村集落が広がる土地は海抜の低い土地で、大峰展望台が属する向山の噴火によって宮塚山と地続きとなり形成されました。

こうしてみると東西は山が一切ない平坦な地形。その為、新島は東京諸島の中でも風が強く吹く場所として知られており、だからこそ、くさやが盛んに製造されていて、くさや発祥の地とされています。強い風と新島の白砂の大地が陽射しを効果的に照り返すことで、干物づくりに最適な環境となり美味しいくさやが生まれるのです。

自然剥き出しの土地が広がる新島だからこそ、目に入る景色から大地が形成されてきたストーリーが想像できる。さらに、風景からその土地の営みや歴史・文化が生まれてきた背景を想像することで、その土地の地域らしさに気づきます。目の前に広がる風景から多くのことが読み取れる、そんなことに気づかせてくれます。きっとスタートアップの皆さんも実際に島に足を踏み入れて五感を通じて直接感じとることで多くのことが見えてきたのではないでしょうか。

今回の現地見学、実はこの後の行程では、海況状況の変化や鳥島近海の地震による津波注意報によって、予定されていた行程は大きく変更となったのですが、参加者の皆さんの表情は明るく、前向き。またあらためて来ればいいんだからと、今後の事業展開に大きな期待や手応えを感じているようでした。というわけで、大収穫だった現地見学は後半天候や地震の影響により大きく変更を余儀なくされましたが、大成功と言える内容だったのではないでしょうか。今後の展開に引き続き注目しながらこぼれ話的レポートを終えたいと思います。お疲れさまでした!

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