東京諸島好きが集まるMeetup「san-bashi #2」開催レポート

Report
2023.12.19

多働海域コミュニティWELAGOでは、コミュニティづくりのアクションとして「Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGO」が建つ伊豆大島や東京大手町の「OTEMACHI KORTO」を主な会場に、定期的なイベントを開催しています。そのなかで、WELAGOのコミュニティパーパスである「都市と地方の共存社会を多様な働き方から描く」をテーマに、東京諸島について「知りたい人」と「伝えたい人」をつなぐカジュアルな社交場として開催しているのが、ミートアップイベント「san-bashi」です。

第2回目の実施となった今回の「san-bashi」では、前回に引き続き参加者より直近の動きや応援してほしい活動などを発表してもらう「推し活レポート」はもちろん、最近さまざまな場面で活用が進んでいるweb3.0領域やNFTをテーマとしたカンバセーション「島 × NFT」を開催しました。

今回のレポートでは「島 × NFT」の様子を中心にお伝えしていきたいと思います。

モデレーターを務めたのは伊豆大島在住の現役高校生であり、WELAGOスタッフとしても活動中の河原晴馬くん(以降、河原くん)、ゲストはジオ・マーク株式会社代表取締役の岡崎峻ニ郎さん(以降、岡崎さん)、株式会社トレジャーコンテンツ代表取締役/NFT Mediaファウンダーの小林憲人さん(以降、小林さん)、株式会社チケミー代表取締役の宮下大佑さん(以降、宮下さん)の3名の方にお越し頂きました。

ReTALKEN FARMについて

カンバセーションでは河原くんが現在取り組んでいるプロジェクト「ReTALKEN FARM」についてのプレゼンテーションからスタートしました。

「ReTALKEN FARM」は伊豆大島産の産直野菜を都市をはじめとした各地に直接届ける「リトウくんfood」と農業体験コンテンツ「ReTALKEN FARM」を組み合わせたプロジェクト。

島における農産物の生産ストーリーとともに島の魅力を伝えることで、農産物を通じて島に興味を持ってもらえるようなプロジェクトを目指しています。

プロジェクト運営の資金集めにクラウドファンディングやイベントチケットの販売なども行っていますが、そこで利用しているのが、今回のゲストである宮下さんが提供している「チケミー」だそうです。どんな人がチケットを購入して、どんな人がイベントに参加しているのか、そんな情報を誰もが見ることができるWeb3.0が持つ透明性にメリットを感じており、。NFTが持つ仕組みは離島という地域性において、相性が良いのではないかと考えているそうです。

プロジェクトが果たすミッション

食材と物語がセットになった「リトウくんfood」を通じて島の風土や地域の豊かさを伝えながら、農業体験コンテンツである「ReTALKEN FARM」で都市から離島への豊かな関係性と人の流れをつくっていく。この2つの事業を回していくことで、ヒト・モノ・コトのより良い循環や成長を目指したいと考えています。将来的には都心の家庭の食卓に島ならではの豊かさをお裾わけすることで、東京諸島の“食”のファンを増やすことに貢献し、東京諸島の特産品をもっと手に取りやすく身近なものにしたい、さらには実際に島に訪れていただく機会をつくることで地域と観光客が長期的にハッピーになれるような関係が生まれてくるような旅を創出したいと考えています。

「島 × NFT」を考える

河原くんによるプレゼンテーションが終わり、続いてゲストの方々よりプロジェクトのブラッシュアップやアドバイスをいただきながら、今回のテーマである「島 × NFT」について考えていくトークセッションが行われました。あらかじめ河原くんが用意した質問は3つ。

Q1.NFTの活用で観光客はどのように島と関わることができるだろう?
Q2.農業 × NFTの事例(一次産業での活用事例)
Q3.なめらかな流通が行き届いた未来の島の姿とは?

それでは、いってみましょう!

NFTの活用で観光客はどのように島と関わることができるか?

実際、NFTを活用することで観光客の体験はどのように変化していくのか、皆さんから意見を伺いました。

ー岡崎さん
観光地への集客を考えた際に、これまでは新しい観光施設や仕掛けをつくってそこに集客するのが定番でした。しかしながら、本来は新たな施設をつくらなくてもすでにそこには十分な魅力があると思っていて、そんな魅力に対して集客・価値化するにあたってWeb3.0は相性が良いと思っています。

例えば、私たちが提供しているイラストマップは魅力的なスポットであることが直感的に伝わるグラフィック処理を施しているのが特徴で、スマートフォンをはじめとした様々なデバイスを通じて見ることができます。また、GPSと連動しているので興味を持ったスポットに実際に足を運ぶことも可能で、訪れることでリアルな体験や思い出につながります。さらに現地での思い出をNFTでデジタル保存(思い出NFT)することで様々な用途に活用できる技術を開発しています。

NFT化することで、実際にその場所に行ったという記録が残るのはもちろん、その記録を活用して、例えば入場チケットとして利用するなど、次の仕掛けづくりにも活用できると考えています。

ー小林さん
多くの観光客が興味を持って訪れてくれるような仕掛けをつくることが大切ですよね。例えば、大島のあるスポットに新しいお客さんを連れていきたいと考えた際に、大島に全然関係のないアイドルなどの人気コンテンツを重ねてコラボレーション企画としてNFTをつくる。すると、そのスポットに行かないとNFTが入手できないので、ファンにとっては大島に行かなければならないという動機が生まれ、実際に島に足を運ぶ、そこで、大島の魅力に気づいて今度は大島自体のコンテンツを楽しみに来島する、みたいな。様々なコンテンツをNFTを使って重ね合わせていくことで、人々の心をつかみ動かす流れが生まれてきます。

ー宮下さん
例えば、今まではあるブランドのプラットフォーム上でしか機能せず、特定のツールやソフト上でしか所有者の権利を証明することができなかったけれど、NFT化することによってメーカーや特定のツールといった垣根を超えて誰もが様々なデバイスや媒体を通じて権利を証明することができる。そして、様々な繋がりが可視化されるのがNFTの特徴だと思っています。

河原くんのチケット販売ページを拝見した際にまず最初に所有者の一覧をみました。どんな人がこの商品に興味があるのか見ることができる。その場所にいなくても緩やかな繋がりが見えるのが魅力だと思っています。

-河原くん
人がどう繋がっているのかが見えるのがチケミーさんの魅力である一方で、GEOMARKさんはいろんな人にNFTを配ることで価値を生み出そうとしていますが、GEOMARKさんの仕組みでもどんな人が繋がっているのか追うことはできるのでしょうか?

-岡崎さん
それが今は過渡期で難しい問題があって、ウォレットというNFTを認証するためのアプリケーションが一般化しないと難しい。現状はまだ、ほとんどの日本人がウォレットを持っていない状況で、将来ウォレットが普及するという前提で今はNFTに馴染んでもらうフェーズだと思っています。宮下さんがおっしゃるように、メーカーや企業の垣根を超えて同じサービス(デジタルトークン)を共有できるのがNFTの良いところですよね。

ー宮下さん
はい、WELAGOさんがチケミー上でコミュニティの会員券を販売してくださっていますが、全く別の方が販売しているサービスに対して、WELAGOの会員券を持っていると割引になるという案内を見つけまして、これは面白いなと思いました。

ー河原くん
島には多くの個人事業主が点在していて、別々に様々な情報を発信していたりイベントを実施していたりしますが、それぞれの施策でNFTを活用することで、今まで別々になっていた情報や取り組みに、ゆるやかな繋がりや生まれて、新たな活用やコラボレーションが生まれやすくなるのではと思います。

-岡崎さん
そうですね。例えば「しまぽ(※1)」がNFTだとしたら、瀬戸内海の島々で使えるチケットとしても流用することができたりしますよね。そこから新しいアイデアやビジネスが生まれて来るのも面白い。全てがオープンになることで見えてくる可能性はたくさんあると思います。

※1「東京島めぐりPASSPORT」の愛称で、スマートフォンで利用できる観光パスポート。東京11島の加盟店で利用できるプレミアム付き宿泊旅行商品券「しまぽ通貨」も発行。令和5年度については完売。(https://shimapo.com/

ー宮下さん
島という物理的な存在とNFTってすごく似ている気がしていて、島は誰も阻むわけではないし、出ていくことを止めたりもしない。独立しているけれども他の社会と緩やかに繋がっているところもある。NFTの面白いところは、インターオペラビリティ(相互運用性)と言って、中心としてNFTのコントラクト(プログラム上における契約)はあるけれど、その中だけで使うものではなく、全然違うNFTと組み合わせて新しいものを作ったり、一つのコントラクトに対して様々なものが繋がって生まれてくるところだと思っていて、それが島の特質性と似ているのではないかと思います。

-河原くん
別々にやっていることが、緩やかに繋がったり、無理することなく活用できたり、共有し合えることができるのが魅力ですね。

農業 × NFTの事例

続いて、農業 × NFTの事例について、小林さんにお伺いしたいのですが、いかがでしょう。

ー小林さん
農業からはちょっと外れるかもしれませんが、事例として面白いのは盆栽だと思っています。盆栽もきちんと育てて販売していくという意味では農業と近しいかなと。

そんな盆栽を使ったNFTで『BONSAI NFT CLUB』というのがあるのですが、簡単にいうと「BONSAI NFT」を購入・保有していると毎日BONSAI COINが付与されていき、リアルな盆栽と交換することができる、というシステムがあります。

盆栽のことを詳しく知らなくてもNFTという入り口から入ることで盆栽を知ってもらう流れが生まれるのはもちろん、NFTを買って終わりではなく、NFTを1枚から自由に売り買いできるのがポイントです。さらに、売買が成立した際に取引金額の一部が手数料として運営側に入るので、その手数料をはじめとした収益を盆栽の栽培費用や送料といった経費に当てているのが面白いと思います。

これを農業の観点から考えると野菜が届く仕組みになると思いますが、送料や生産者への収益の分配について考える際にこのBONSAI NFT CLUBの仕組みは参考になるのではないかと思います。

ー宮下さん
NFTと一言で言ってもいくつか種類があって、今おっしゃって頂いた事例はオーソドックスな良い事例だと思うのですが、もう一つあげるとすると現物償還型NFTというのがあって、簡単に言うとNFTの権利が確定した段階で商品が届くというものです。つまり、実際の商品が届く前の段階であれば自由に流通できる。

物流と流通は分けて考える必要があって、農業のコストの中で多くを占めているのが流通の部分です。小売の市場のうちの4%〜6%は物流のコストで、それ以外の原価を除いた40%〜60%は流通にかかっています。この流通のコストをNFTを使うことで削減できるのではと思っています。

卸売業者がやっていることは

  • 価値の発見(例えば、伊豆大島の野菜を見つけてくる)
  • 資金効率の提供(例えば、事前に投資することで安く買わせてもらう)
  • 価値の伝達(例えば、仕入れた商品のマーケティングを代わりに担ってあげる)

これらがNFTで大体代用できると思っています。権利だけをNFT化して誰かに買ってもらうことで、自由に流通してもらったり、自分のプラットフォームやサイトで販売してもらいながら、どんどん流通してもらって、最後に商品が欲しい人が商品を受け取ると確定されるといった流れです。マーケティングや価値発見の上手な人がNFT化した権利を仕入れて自由に流通させる。OpenSeaやチケミー等で自由に流通させていくことで、それを目にして欲しいと思った人が買うという流れができる。そんな感じで、流通を超効率化できる可能性がNFTにはある。

-岡崎さん
先行投資するというきらいが強くなるが、そうすると不作や天候不良があった際にリスクを共有することになりますよね。でも、このリスクを共有することが逆に良いと思っていて、共依存関係ですよね。安く買わせてもらう代わりに天候のリスクを共有する、これってある意味コミュニティというか繋がりの一部なんじゃないかなと。マイナスのエネルギーではありますけどコミュニティですよね。このエネルギーを何かに使えるのではないかと思います。

-小林さん
双方が同じ方向を向いていけるのが良いですよね。「一緒にこのサヤエンドウをとろうぜ!」って、「収穫まで楽しみだね!」ってコミュニケーションが生まれる。例えば、台風の上陸が予想される際に、NFTを買ってくれた人の中からビニールハウスの補強を手伝いにきてくれたりするケースとかありそうですよね。

ー宮下さん
最初にお金を入れてもらうことによって、同じ方向を向くという言葉の通りで、自分も生産者の立場の一翼を担えるというか。例えば、生産者が風邪で寝込んだ際にサポートに行ったりとか、緩やかな繋がりが実現できそうです。

-河原くん
そうなんです。実際に支援チケットを買ってくれた方が畑を耕しにきてくれました。

-全員
それは素晴らしいですね!

なめらかな流通が行き届いた未来の島の姿とは?

ー河原くん
では、話題を変えまして、「なめらかな流通が行き届いた島の姿」とはどんなものなのかお話ししていきたいと思います。

先ほど宮下さんから流通やマーケティングの効率化のお話が出ましたけど、もう少し可能性やアイデアなど教えてもらってもよろしいでしょうか。

-宮下さん
仕入れと販売の関係を考える際に、モノだとわかりやすいと思うのですが、例えば、体験の流通も面白いのではないかと思っています。

島に行ったことのある方は分かるかと思うのですが、大抵の人は島に行くとその島のことを好きになるじゃないですか?で、好きになると他の人にも共有したくなって広めたくなると思うんです。今までは広めるための有効な手段ってあまりなかったと思うのですが、例えば、あなたが今体験したことを体験できる権利を有したNFTチケットを10枚差し上げるので、お知り合いや友人に配ってくださいって配布する。実際に島に来ないと体験できないものなので、多くの方が島に訪れるきっかけが生まれます。そんな「期待感の流通」というか、私が体験して楽しかったからこのワクワクをみんなに配りたい、というマインドを利用して多くの方に届ける仕組みが考えられますよね。

ー岡崎さん
それこそなめらかにNFTを渡せる仕組みがあるといいですよね。
例えばSNSでいいねしてくれた人に自動的にチケットが届くとか。そのチケットを島で使うと何かもらえるとか、意識せずともチケットが流通していくような仕組みがあると面白いと思います。知らないうちに体験チケットがたまっていくような仕組みがあると素敵だと思います。

-河原くん
皆さん、ありがとうございます。まだまだ話は尽きませんが、お時間も迫ってきましたので、この辺りで締めたいと思います。私個人として色々とお伺いしたいので、このあと個人的にご相談したいと思います笑。今日のお話を通じてあらめてNFTは地方創生に向いているのではないかと思いました。本日はありがとうございました!

いかがでしたでしょうか?

今後もsan-bashiでは今回の「島 × NFT」のように東京諸島とさまざまな話題を掛け合わせることで、島への興味や可能性につながる対話の機会をつくっていきたいと思っています。引き続きどうぞよろしくお願いします!

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