レポート |「日常の側にあるワーケーション」デザインプロジェクト

Report
2024.03.28

こんにちは!WELAGO運営事務局の大前です。今回は、昨年の11月から今年の1月にかけてIzu-Oshima Co-Working Lab WELAGOを研究拠点に実施されたデザインプロジェクト「日常の側にあるワーケーション」のレポートをお届けします。

大島を舞台にした産学連携プロジェクト

2023年11月、武蔵野美術大学とWELAGOを運営する株式会社フロンティアコンサルティングは、伊豆大島(東京都大島町)をフィールドとした産学連携プロジェクトを発足しました。

同大学 丸山幸伸教授のご協力のもと、造形構想学部クリエイティブイノベーション学科に通う学生16名が参加し、「ワーケーション」から様々な可能性を探索するプロジェクトです。同学科では「創造的思考力」と「社会の中で実践的に学ぶこと」を重視しており、本プロジェクトにおいてもアイデア創出から具体化、プロトタイピングまでを学生の皆さんと取り組みました。詳細については下記のプレスリリースを併せてご覧ください。

■武蔵野美術大学からのプレスリリース
武蔵野美術大学と株式会社フロンティアコンサルティングが「日常の側にあるワーケーション」のデザインプロジェクトを実施

■フロンティアコンサルティングからのプレスリリース
武蔵野美術大学と覚書を締結 – 研究拠点としてコワーキングスペース「Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGO」を提供 –

ワーケーションから、これからの働き方や暮らしを探る

本プロジェクトにおける研究テーマは「日常の側にあるワーケーション」

ワーケーションは観光地での余暇を楽しみながら仕事も行うワークスタイルとして個人のみならず企業からの関心も高い取り組みです。近年は地方自治体でも観光や関係人口創出を目的にワーケーションを冠した取り組みが多く見られます。本プロジェクトでは、ワーケーションを促進するアイデア創出だけでなく、ワーケーション自体を再定義し、新たなコンセプトやサービスを立案することまで視野に入れて取り組みました。それは日常を豊かにするような、新たな働き方や暮らし方の探求とも言いえます。

ワーケーションと大島を紐解く

「旅行先で、なぜ仕事するのか?」「どんな人が体験しているのか?」

ワーケーションを経験したことのない学生たちは、このような問いからプロジェクトをスタートさせていきました。

ワーケーションが生まれた背景や経緯、これまでの事例から理解を深めつつ、今回の対象エリアとなる大島の歴史、文化、産業などの情報を収集し、対象とするデザインの仮説を立てていきました。そして、アイデアを膨らませた学生たちは、満を持して12月初旬にフィールドリサーチのため大島へ向かいました。

自然の洗礼を受けた初日

一泊二日の旅程をたて、前夜発の大型客船、当日朝のジェット船の2組に分かれ、東京・竹芝を出発しました。大型客船は翌日の早朝に到着予定。ところが、ここで思いもよらないトラブルが発生します。深夜に発生したフィリピン沖の地震と津波の影響で大島の岡田港へ着岸ができず、次の寄港先へ向かうという状況に。

結果、朝6時着の予定が15時過ぎに到着し、ようやく先に着いていたジェット船班と合流ができました。初日から自然の洗礼を浴びることになりましたが、予定していたスケジュールを調整し直し、各施設やエリアの視察、島民の方々へのインタビューを実施し、島内外の両面から大島でのワーケーションの価値について探っていきました。

夜の食事では、べっこう寿司パーティーと題して、伊豆大島の郷土料理であるべっこう寿司をみんなで握りながら、初日を振り返りました。

濃厚なインプットから、アウトプットへ

2日目の早朝、希望者で名所「裏砂漠」へ向かいました。裏砂漠は、国土地理院作成の地図の中で日本で唯一「砂漠」と表記されているエリア。三原山の東側に広がる一帯を指し、火山灰とスコリア(火山岩)で覆われています。最大風速10m/s以上の日が年間の3分の1に達する伊豆大島では、裏砂漠も普段は風が強いエリアですが、この日は天候に恵まれ、快晴無風のなか絶景の朝日を堪能できました。

早朝のアクティビティを体験後、リサーチ活動は2日目へ。

大島町郷土資料館、三原山や弘法浜など地域資源である自然スポット、そして大島在住のクリエイターのアトリエを訪問しました。

各所を訪問後、昼食をとりながらこれまで得た気づきなどをシェアする時間を設けました。

大島で見て感じたもの、島の方々との交流、そして行きの大型客船の到着が大幅に遅れたというトラブルでさえも、ワーケーションを研究テーマとする上では貴重な経験だったという話題も挙がり、短い滞在ながらも学生たちにとって、収穫の多いリサーチとなりました。

学生たちが見出した、16人16通りの研究成果

大島から戻った後も、学生の皆さんは自身が取り組むデザインに磨きをかけ続け、そして年が明けた2024年1月中旬、研究成果の発表を市ヶ谷キャンパスで実施しました。

ワーケーションを切り口に、食、美容、ファッション等を軸としたサービスの開発、チームビルディングで活用するプロダクト、ランドスケープから新たな体験を促す装置など、当日発表されたプランは様々な視点から練り上げられたものばかり。ユーザーへどのような体験をもたらすのか、そのためのビジュアライズや導線づくりなど、UI/UXを意識して考えられたデザインは、いづれも「いつかできたらいいな」という発想を超えて、実現性が高く、需要が見込めるプランばかりでした。

ちなみに、2月16日に開催したWELAGO主催のミートアップ「san-bashi#3」では、学生の中から5名をゲストスピーカーにお呼びし、成果発表を行って頂きました。その様子を伝えるレポートについては以下よりどうぞ。

東京諸島好きが集まるMeetup「san-bashi #3」開催レポート

3回目となるMeetup「san-bashi」の開催レポートをお届けします。今回のMeetupでは、武蔵野美術大学 造形構想学部クリエイティブイノベーション学科の学生の皆さんによる発表や展示が行われました。

大島を起点に、これからの社会をデザインする

1月の発表でいったんは幕を閉じた「日常の側にあるワーケーション」デザインプロジェクトですが、WELAGOでは今後も同様のプロジェクトへ主体的に携わり、多様な社会の在り方を大島から描いていきたいたいと考えています。

最後に、本プロジェクトへご協力頂いた皆様、ありがとうございました!

写真協力:武蔵野美術大学 造形構想学部 クリエイティブイノベーション学科 丸山プレゼミ

Back