東京諸島好きが集まるMeetup「san-bashi #3」開催レポート

Report
2024.03.31

こんにちは!WELAGO運営事務局の千葉です。
先日、3回目となるMeetup「san-bashi」を東京大手町 OTEMACHI KORTOにて開催しました。

今回のMeetupでは、WELAGOが武蔵野美術大学 造形構想学部クリエイティブイノベーション学科と株式会社フロンティアコンサルティングによる産学連携プロジェクトの研究拠点となったことを受けて、研究テーマ「『日常の側にあるワーケーション』デザインプロジェクト」の参加学生のうち5名をゲストとしてお呼びし、ピッチ形式で発表してもらうとともに、全参加学生16名の研究成果をパネル形式にて展示しました。

「ワーケーション」をテーマに、地域や社会の状況を踏まえながら様々な側面から掘り下げられたプランに深く感心するとともに今後の展開から目が話せない、そんなワクワクするひとときを共有しました。

武蔵野美術大学と株式会社フロンティアコンサルティングが「日常の側にあるワーケーション」のデザインプロジェクトを実施することを発表

今回の企画の背景となる「日常の側にあるワーケーション」とは、武蔵野美術大学と株式会社フロンティアコンサルティングが東京都大島町をフィールドに展開していく産学連携による研究プロジェクトです。仕事をベースとした社会的な生産活動と日々の日常的な暮らしからなる個人的なライフスタイルを二項対立としない新しい暮らし方のケースを見出していくことで、ワーケーションの促進を図っていくコンセプトを探ることを目的として2023年11月より造形構想学部クリエイティブイノベーション学科3年生のプレゼミ活動としてスタート、市ヶ谷キャンパスでの講義のほか、伊豆大島でのフィールドワークを実施し、2024年1月に参加学生16名による成果発表を行いました。

そこで今回のレポートでは、主に参加学生5名の発表内容について、イベント当日の様子とともに簡単にご紹介したいと思います。

デジタルデトックスを通して自然な自分の時間軸と働き方の発見を援助するスマホアプリ

吉成翔音さんはデジタル依存傾向にある自身の状態を自覚することで、そこから脱することの難しさを実感した一方で、豊かな自然が多く残る地方で過ごした際にデジタルデバイスを手に取る時間が減少した経験を通じて、ワーケーション実施中に自分らしい充実した時間を過ごすためのサポートをしてくれるツール(アプリケーション)を考案しました。

アプリケーションから出される各種質問に回答することで自身のデジタルデバイス依存度を分析し現状を知るとともに、アプリから提案される大島での過ごし方や時間の使い方を実際に現地で経験することで、ワーケーション期間中に理想的な生活スタイルを体験することが可能となります。さらにワーケーションから戻った後もワーケーション期間中の時間の使い方を通知機能により振り返ることで、デジタルデバイス依存から自身を解放し、より自分らしい過ごし方を取り戻すきっかけを教えてくれます。

例えば、仕事中の気分転換に海岸まで出かけて素足になって海に浸かることができてしまうほど自然との距離が近い島暮らし。そんな島では当たり前のことが都市部では難しかったりします。そもそも仕事から離れてリフレッシュするための手段が都市部では意外と限られているし、コストがかかることが多いのではないでしょうか。今回のツールはワーケーション先である大島で、大島ならではの過ごし方を提案してくれることでデジタル依存から離れ、新しい過ごし方を通じて新たな自分と出会うきっかけを提供してくれるツールであり、ウェルビーイングというキーワードとも親和性のあるニーズの高そうなサービスだと思いました。

非日常を身にまとうファッションレンタルサービス

伊東菜桜さんはワーケーションをする際の旅支度の軽減とファッションを通じて体感するワクワクを両立させたサービス「大島Wearing Workcation」を考案しました。島の非日常的な空間の中でファッションを楽しみながら島内スポットを巡る仕掛けやコミュニケーション誘発の仕組みも盛り込んだユニークなサービスです。

ターゲットとして設定したのは20代のフリーランスやリモートワーカー。比較的場所を選ばずに柔軟な働き方をしている人を対象にサービスを組み立てています。

特にユニークなポイントは、地域性の高いデザインやSNS映えする仕掛けを盛り込むことでSNSとの親和性を高めていたり、デザインの一部がQRコード化されていて、読み取ることでお得なサービスが受けられたり、一部書き込み可能なデザインを導入することでワークショップ等を通じて自身を表現するツールとして活用できたり、衣服としての機能に限定することなくファッションを様々なコミュニケーションに活用できるツールとして派生させている点が面白いサービスでした。

自分だけの大島特産オリジナル弁当サービス

山岸胡春さんは大島でのフィールドワークを通じてWELAGO周辺に徒歩圏内で食事ができる場所がないことや、主婦層を中心とした大島の住民の方へのインタビューを通じて地元の人同士で地域ならではの食材が出回っている状況を知りました。そこで、地元ならではの食材を使ったメニューをアプリから注文してデリバリーできる、ワーカーと島民を食でつなぐサービス「おおしまんち lunch」を考案しました。

ワーカーはアプリケーションを通じて地元ならではの食材やレシピ、そして、提供者である島民の情報を知ることはもちろん、気に入ったメニューはデリバリー注文が可能です。島民は島の食材や郷土料理をベースとしたレシピや食材を提供し、保健師や料理家の監修を受けてメニューとして採用されることで報酬を得ることができます。

また、お弁当の材料となっている大島の食材や料理について知ったり、コメントすることで島民とのコミュニケーションを図ることができます。島民は報酬を得るだけでなく、ワーカーからコメントをもらうことで自分たちが暮らしている場所の魅力を再発見することにもつながります。サービスの運営を通じて地域ならではの情報が蓄積されていくことで情報価値を高め、シビックプライドの醸成も見込める興味深いサービスでした。

WELAGO-Shigeki
“縁とゆかり”で来島者をゆるやかに大島と繋げる場をつくる

阪田大和さんはWELAGOが掲げているコミュニティステートメント「東京諸島を都市と地方の共存へと導く多働海域に」に着目したプレゼンテーションを行ってくれました。

コミュニティステートメントの達成には「大島が持つ都心からのアクセスの良さを活かすこと」、「島民をもっと巻き込むこと」の2点を踏まえたワーケーション施設が必要であると考えました。そこで、島外から訪れる方にとっては都心からのアクセスの良さを活かし、何度も訪れたくなる施設にするための仕掛けが必要であり、そのためには「縁とゆかり」が大切であると導きました。

さらに、島に訪れる人にとってはいつもとは異なる島の環境から刺激を受けることが魅力である一方で、島民の方にとっては島での暮らしが当たり前になり、普段の生活からは得られない「刺激」を求めている。と分析し、そんな両者が求める「刺激」にフォーカスしたワーケーション施設をつくることで来島者と島民が「縁とゆかり」を持って繋がる場が生まれると考えました。

そこで島内の廃校を活用したワーケーション施設の可能性について検討を進めました。
廃校のような広い施設を様々な用途に活用できるように自由にレイアウトすることでワーカーと島民双方にとって価値のあるワーケーション施設になると力強く語ってくれました。コンセプトの実現へと導く「縁とゆかり」と「刺激」をキーワードにデザインした空間を模型で示してくれた力作でした。

星(OFFTIME=夜景)と仕事(ON)を繋ぐ
陽と流れと共存する働き方Hoshigoto

安里太樹さんは大島でのワーケーションの価値について考えたところ下記のような内容が考えられるのではないかと分析しました。

  • 生産性の向上
  • 都心からのアクセスの良さ
  • 普段の環境から離れてワークができる
  • 遊びとワークの距離を近づけられる
  • 普段と時間軸の違う環境で過ごせる

一方で、大島におけるワーケーションの課題として、

  • 働く場所が都心から地方に変化するだけになっていないか?
    →人や状況にもよるが結局都心と同じ時間軸で働いていることが多いのでは?
  • 都心と同じ時間働くことで、仕事を終えてからの夜のアクティビティが少ない島では仕事後に楽しめる場所が少なく、ワーケーションの醍醐味でもある「バケーション(楽しみ)」が半減してしまうのではないか?

の2点をあげました。
そして、そこから導き出したソリューションへとつながるコンセプトは新たな夜の体験の開発です。その名も「Hoshigoto」。WELAGO内の芝生の庭「SHIBAFU」エリアを活用して、蓄光塗料を塗装した石等を配置することで屋外に幻想的な空間を生み出し、夜の美しく楽しい時間を誘発する装置として機能させるプランでした。

新たなアトラクションとして夜のランドスケープをデザインすることで、そこに盛り込むコンテンツやサービスが広がり、ワークからバケーションへのスムーズな移行につながる。結果として豊かなワーケーションプランの展開につながると提案してくれました。

この蓄光塗料がかなりの発光量で光を放つそうで、ぜひ今度実物を拝見してみたいと思いました。具体的なプロダクトを使って現実的な提案をしてくれた安里さん、モニターイベントとしてもトライしやすく、早速試してみたい、そんなアイデアでした。

参加学生全員のパネルを展示することで「ワーケーション」の魅力や可能性を可視化

5名の素晴らしいプレゼンテーションとともに別室に展示されたパネルにも様々な角度からワーケーションを促進させるアイデアに満ちたプランが掲載されていて、じっくり拝見することで多くの気づきや学びにつながる力作揃いの内容に参加者の皆さんは興味津々の様子でした。

今回もMeetup「san-bashi」にご参加・ご協力をいただきありがとうございました!
次回「san-bashi #4」もどうぞお楽しみに。

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