本と人がゆるやかにつながる日。「一箱古本市」開催レポート
11月8日、WELAGOで「一箱古本市 〜 本と出会い、人とつながる 〜」と題した“小さな古本市”をひらきました。
「一箱古本市」は、その名の通りお気に入りの本を“ひと箱”分だけ持ち寄って、1日だけの小さな本屋さんになるイベントです。今回が初めての開催でしたが、日頃WELAGOをご利用いただいている利用者さんや、WELAGOスタッフも店主として参加し、個性あふれる選書と、それぞれの本にまつわるストーリーを持った店主さんたちが集まりました。会場では、来場者とのおしゃべりも途切れず、終始にぎやかであたたかな時間が流れていました。

店主の数だけ、小さな本屋さんが生まれた一日
それぞれの店主さんのテーブルには、好きなジャンルやテーマで集められた本がずらり。本の装丁を活かした並べ方を工夫したり、手書きのポップを添えたりと、「自分だけの小さな本屋さんづくり」を存分に楽しんでいる様子が印象的でした。

事前にお伝えしていた「店主の楽しみ方」は、こんなポイントです。
【店主の楽しみ方】
- 選書や飾り付けを楽しみながら、自分だけの小さな本屋さんがつくれる
- 持ってきた本が会話のきっかけになり、来場者や他の店主さんと本の話で盛り上がれる
- 家の本棚を見直すきっかけになり、忘れていた一冊にまた出会えるかもしれない
実際に開催してみると、「久しぶりに本棚をひっくり返した」「この一冊をどうしても誰かに紹介したくて…」といった声も多く聞かれ、店主さん自身にとっても、自分の“好き”を見つめ直す時間になっていたようです。

お客さんも、自分のペースで本の世界にひたる
一方で、お客さん側の楽しみ方もさまざまです。
【お客さんの楽しみ方】
- ここでしか出会えない掘り出し物やZINEとの偶然の出会いを楽しむ
- 店主さんのおすすめやエピソードを聞きながら、本をきっかけにした交流を味わう
- 個性豊かな本屋さんを巡り、ゆったり本の世界に浸る
ふらっと立ち寄って一冊だけ選ぶ人もいれば、何度も会場を行き来して迷いながら本を選ぶ人、店主さんと長い時間おしゃべりをしていく人もいて、「本との出会い方」も「人との距離感」も、それぞれに心地よいペースで楽しんでいただけたように感じます。

“気軽に入れて、気軽に話せる”場を目指して
今回、WELAGOとして大切にしたのは、「楽しみ方は人それぞれでOK」という空気づくりです。
気軽に入れて、気軽に交流できて、気軽に楽しめる。そのきっかけを少しでも増やしたいと思い、いくつかの仕掛けを用意しました。

たとえば、会場の一角には似顔絵ブースを設けて、本と一緒にイラスト交流が生まれるようにしたり、「こんな気分になれる本、知りませんか?」「あの頃、よく読んだ本、お気に入りだった本は?」といった本にまつわる問いをホワイトボードに掲示し、来場者の方に付箋で自由に書き込んでもらったり。さらに、お茶やお茶菓子も用意して、ちょっと一息つきながら話が弾むような雰囲気づくりを心がけました。

店主さんが自宅の庭で育った柑橘を「よかったらどうぞ」と持ってきてくださったり、自身の版画作品(ポストカード)を並べてくださったり。芝生エリアでは子どもたちが元気に走り回り、大人たちもゆったりと本を片手にくつろぐ。そんな、心がほっと温まる場面に何度も出会うことができました。
参加者の年代も、お子さんからご年配の方まで幅広く、世代や背景をこえて一緒の時間を過ごす“ご近所の縁側”のようなひとときになったのではないかと思います。

「好き」が出会い、コミュニティが芽生える場所へ
今回の一箱古本市を通じてあらためて感じたのは、「本」という共通の“好き”があるだけで、初めましての人同士でも自然と会話が生まれ、ゆるやかなつながりが育まれていくということでした。

あわせて、WELAGOが「自然共生サイト」として認定された場所であることも、このイベントの大事な背景にあります。ツバキをはじめとした豊かな植生や、そこに暮らす生きものたちと共にあるこの環境の中で、できるだけ廃棄物を減らし、モノや人の関係性がやさしく循環していくあり方を大切にしたいと考えています。

一箱古本市も、その想いとつながる取り組みのひとつです。
読み終えた本や、本棚で長く眠っていた一冊をすぐに捨ててしまうのではなく、「きっとどこかにこの本を必要としている人がいるはず」と、興味を持ってくれた次の持ち主へ手渡していく。新しいモノを大量につくり出すのではなく、すでにある本の価値をもう一度見つけ直し、別の誰かにバトンを渡していく小さな循環は、結果として廃棄物を減らし、島の環境にもやさしい選択につながっていきます。

WELAGOは、コワーキングスペースとしての機能だけでなく、こうした「好き」や「興味」をきっかけに、人と人、人と地域との関係が生まれていく場でありたいと考えています。
一箱古本市は、その第一歩。これからも、本だけでなく、音楽、映画、ボードゲーム、ものづくり、ZINEづくり…など、さまざまな趣味やテーマを入り口にした“小さなマーケット”やイベントを企画していきたいと思っています。
「こんなことやってみたい」が出発点
そして何より、今回の一箱古本市をきっかけに、
「私もWELAGOでこんな企画をやってみたい」
「自分の好きなことをテーマに、誰かとつながる場をつくってみたい」
と思ってくださる方が増えていったら、とても嬉しく思います。

やってみたいアイデアがふっと浮かんだら、規模の大小は問いません。
本でも、食べ物でも、音楽でも。まずはお気軽にWELAGOスタッフまでご相談ください。
WELAGOは、島で暮らす人・働く人・訪れる人の「やってみたい」を形にしていく実験場でありつづけたい。一箱古本市は、その想いをあらためて実感できる一日となりました。
ご参加くださった店主のみなさん、来場者のみなさん、本当にありがとうございました。