12/21開催「くるさと」レポート:“みんな”が楽しめるスポーツって?

Report
2026.02.13

2025年12月21日(日)、Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGOにて、島の小中学生のための職業探求プログラム「くるさと」を開催しました。「くるさと」は、島の子どもたちが島外のさまざまな仕事や価値観に出会い、自分たちの未来の可能性を広げるための学びの場として開催しています。

今回のテーマは「新しいだれでもスポーツを考えよう!」。体の動かし方や得意・不得意が違っても、みんなが一緒に楽しめるように、ルールや遊び方を工夫して“新しいスポーツ”をつくるワークショップを行いました。

ゲスト講師としてお迎えしたのは、元女子レスリング48kg級日本代表で2016年リオデジャネイロオリンピック金メダリストの登坂絵莉さん、そして2011年W杯優勝・ロンドン五輪準優勝などに貢献した元なでしこジャパンの岩渕真奈さん。お二人は現在、一般社団法人スマイルコンパスを立ち上げ、子どもたちがのびのびと純粋にスポーツを楽しめる体験機会をつくる活動に取り組まれています。

会場が一気に近づいた、最初の5分「おにごっこ」

今回のワークで行うスポーツは、「おにごっこ」。まずは準備体操のあと、SHIBAFUエリアで制限時間5分のおにごっこをしてみます。

鬼はなんと登坂さんと岩渕さん。さすが一流アスリート、俊敏な動きとお二人のチームワークで次々と子どもたちを追いかけ、5分間で12人全員を捕まえることに成功。

全員が汗だくになりながら体を動かしたことで、会場の空気が一気にほぐれ、和やかな雰囲気に変わっていきました。

ワーク①:おにごっこにあえて制約を足してみる

続くワーク①では、「ルールを加えておにごっこをしてみよう」。
参加者のうち何人かに、「見えづらいメガネをかける」「腕が使えない」「1分間に1回しゃがむ」「走れず歩くだけ」などの制約を加え、同じく5分間のおにごっこを行いました。

当然、制約がある子は本来の動きが出せず、思うように逃げられません。一方、制約のない子は第三者目線で状況を見つめることになります。
遊んだあとは「やってみてどうだった?」「難しかったことは?」「どんな気持ちだった?」とチームで問いかけながら振り返り。最初は「かわいそうだった」「大変そうだった」という率直な声から始まり、次第に「全員がゆっくり歩けば楽しいかも」「気配を消して近づけばゆっくり歩きでも捕まえられそう」など、お互いの立場を想像しながらルールの工夫を考えていました。

ワーク②:みんなが楽しめる「だれでもおにごっこ」をつくる

次はいよいよ、2チームに分かれて“だれでもおにごっこ”づくり。発想を広げるための道具も用意しながら、「どうすれば制約のあるなしに関わらず、全員が楽しく参加できるか」を話し合い、ルールを設計していきました。

大切にしたのは「うまくできる/できない」ではなく、「その場にいるみんなが、楽しく参加できる」こと。かなり難しいお題だったかと思いますが、普段から色々なおにごっこに慣れ親しんでいる子どもたちだからこそ、アイデアが次々と生まれました。

チームで話し合いながら、想像し、意見を共有しながら考える…。まさにスポーツの“楽しさ”と“工夫する面白さ”が同時に立ち上がる時間でした。

ワーク③:生まれた2つのだれでもおにごっこ

発表では、それぞれのチームからオリジナルルールが提案されました。

生まれたおにごっこは、2つ。1つめの「王さまおに」は、王さまを狙い合うしっぽとりゲーム。腕の使えない人には、脇に挟んで使える道具を用意して、制約のある人が不利にならないルールを作りました。

2つめは、ペアで手を繋いで片方が目を隠した状態でプレイするおにごっこ。こうすることで、全員の条件を平等にするルールになりました。

どちらのおにごっこも子供たちの細かな工夫が光るものでした。実際にルールができて遊んだ後は、勝つための戦術を練る姿も見られました。

最後はサイン、握手、そしてメダルも

最後は感想や学んだことを共有する振り返りの時間へ。子供たちからは「自分は普段普通に動けるけど、自分ごとにしてみたらよく分かった」「制約を付けておにごっこをするのは単純に楽しかった」「メダリストの登坂さん・岩渕さんが大島に来てくれてうれしかった!」などの声が聞かれ、学びとワクワクが両方残る時間になりました。
終了後にはサインや握手の交流も。さらに、メダルに触れさせてもらう場面もあり、子どもたちにとって忘れられない一日になったのではないでしょうか。

一般社団法人スマイルコンパスは、スポーツの楽しさを届けるだけでなく、特別支援学校や体験機会が限られがちな地域(離島・被災地など)を優先して訪問し、子どもたちの成長機会をひらく活動を続けています。
WELAGOもまた、伊豆大島を起点に「都市部」と「島しょ部」を行き来しながら、働く人々の創造的な循環を生み出す拠点として、今後もさまざまな学びの場をつくっていきます。

おわりに

今回のワークで子どもたちが見せてくれたのは、「できる・できない」ではなく、「制約のあるなしを超えて、どうしたらみんなが一緒に楽しめるか」を考える力でした。ルールを少し変えるという工夫で、目の前の景色が変わり、誰かの笑顔が増える。その気づきは、スポーツだけでなく、学校生活やこれから出会う社会のさまざまな場面にもつながっていくはずです。

今回の時間が、子どもたちの中に「誰かと一緒に楽しむための工夫」や「相手の立場を想像する視点」として、これからの日常にそっと残っていけば嬉しいです。

WELAGOはこれからも、島の子どもたちが “島にいながら”多様な人や価値観に触れ、挑戦や学びを楽しめる機会を、地域のみなさんと一緒につくっていきます。ご参加・ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

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