雨音と本をめぐるあたたかな対話。第二回「一箱古本市」を開催しました!

Report
2026.06.30

6月20日(土)、WELAGOにて第二回「一箱古本市」を開催しました。
「一箱古本市」は、お気に入りの本を“ひと箱”分だけ持ち寄って、1日だけの小さな本屋さんになるイベントです。

「一箱古本市」のたのしみ方

  • 店主のたのしみ: 選書や飾り付けを工夫して「自分だけの本屋さん」を作り、本をきっかけに遊びに来た人や他の店主さんとの会話を楽しむ。
  • お客さんのたのしみ: ここでしか出会えない本やZINEとの偶然の出会いを楽しみ、店主さんの思い出話を聞きながら、それぞれのペースでゆったり本の世界に浸る。

本を売買すること以上に、「本を介して、人と人がゆるやかにつながる」こと。そして、世代や背景を超えて“ご近所の縁側”のように心がほっと温まる場を作ること。それが、WELAGOが大切にしている一箱古本市のカタチです。

また、この活動はWELAGOが掲げている「Nature Positive Living Lab」として、資源の循環を大切にする想いを叶えるための取り組みでもあります。読み終えた本をただ処分してしまうのではなく、興味を持ってくれる次の持ち主へと手渡していく。そんな本をめぐる小さな循環が、島の豊かな自然や環境にやさしい選択へとつながっていきます。

当日は梅雨らしい雨模様でしたが、会場内はジメジメした空気を吹き飛ばすほどの晴れやかな活気に包まれていました。

今回は、そんなあたたかな交流の様子をレポートします。

10組が出店!それぞれの個性が詰まった「ひと箱」

今回集まった小さな本屋さんは、全部で10組。島内でじわじわと口コミが広がったこともあり、会場となった「HIDARITEスペース」は、人でいっぱいになるほどの熱気に包まれました。

前回から続けて出店してくださったお馴染みの顔ぶれに加え、この春に大島へ移住してきたばかりの方、親子やご夫婦での参加など、新しい出会いもたくさんありました。開始前から出店者同士の自己紹介が始まり、話が弾むなど、すでに温かい空気が流れていました。

それぞれの「ひと箱」には、店主さんの人柄や好みがぎゅっと表現されています。
なかには、あえて本の表紙が見えないように封筒でラッピングし、「この本を読むことで得られる効能」を書き添えるという、趣向を凝らした並べ方も。

ただ本を売り買いするだけでなく、「本をきっかけにコミュニケーションを楽しんでほしい」という店主さんの想いが伝わってきます。来場者の方々も、そのユニークなラインナップにゆっくりと足を止め、店主さんとの会話を楽しまれていました。

本の話から、自然と広がる「島での暮らし」の会話

イベントが後半に差し掛かるにつれ、会場の空気はさらに一体感を増していきました。その中心にあったのが、会場中央に置かれた「質問ボード」です。

「それぞれの年代におすすめしたい本は?」
「こんな気持ちになる本知りませんか?」

といった問いかけに対し、出店者だけでなく、来場された方々も一緒になってアイデアを書き込んでいきます。世代が違っても、同じ本に共感したり、新しい本を教え合ったりできるのは、本という存在が持つ大きな魅力だと改めて実感させられました。

さらに素敵だったのは、交わされる会話が本のことだけにとどまらなかったことです。同じ空間で長い時間をともに過ごすうちに、「島での暮らしのこと」や「最近の気づき」など、日常の何気ない雑談へと自然に広がっていきました。

本という共通のテーマがあるからこそ、初対面でも心の距離が縮まり、深いコミュニケーションが生まれていく。そんな心地よい時間が流れていました。

心にあたたかく響いた、一冊の詩の朗読

イベントの最後には、出店者全員でひとつの輪になり、「今日出会った本の紹介タイム」を設けました。

「なぜその本に惹かれたのか」
「手に取ったとき、店主さんとどんなお話をしたのか」。

一人ひとりが嬉しそうな表情で語る姿からは、今日という日への確かな満足感がじんわりと伝わってきます。

そんな愛おしい時間の中で、ある出店者さんが、亡くなったご友人からプレゼントされたという大切な一冊、長田弘さんの詩にグスタフ・クリムトの描いた花畑の絵が添えられた詩集『詩ふたつ』を開き、その一節を静かに音読してくださいました。

「森には、何一つ、余分なものがない。何一つ、むだなものがない。

人生も、おなじだ。何一つ、余分なものがない。むだなものがない。

やがて、とある日、黙って森を出てゆくもののように、わたしたちは逝くだろう。

わたしたちが死んで、わたしたちの森の木が天を突くほど、大きくなったら、

大きくなった木の下で会おう。わたしは新鮮な苺をもってゆく。きみは悲しみをもたずにきてくれ。

そのとき、ふりかえって、人生は森のなかの一日のようだったと言えたら、わたしはうれしい。」

雨音だけが優しく響く空間で、集まった全員が、その言葉の奥にあるあたたかさにそっと耳を澄ませ、想いを重ねていました。

これからも長く愛される場所で。

朗読されたあの詩のように、今日という日は、私たちの長い人生や大島の営みのなかでは、ほんの一瞬の出来事かもしれません。けれど、雨の日のWELAGOで皆さまと分け合ったあたたかな時間が、それぞれの日常のなかで、少しでも豊かな時間となっていたら嬉しく思います。

「一箱古本市」は、これからも年に2回(6月と11月)開催していく予定です。
ここで生まれた小さな出会いや対話が、今後もこの島で続いていく大切な景色になるように。
私たちもこのイベントを、皆さまと一緒に、大切に育んでいきたいと思います。

次回は11月。
また皆さまとお会いできる日を楽しみにしています。

Back