武蔵野美術大学との共同研究が始動。2025年度は「Nature Positive Living Lab」を推進
「Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGO」を運営する株式会社フロンティアコンサルティングでは、武蔵野美術大学と2024年度より生物多様性やネイチャーポジティブをテーマにしたデザイン研究を進めてきました。
伊豆大島をフィールドに、WELAGOを研究拠点として学部生、院生、教員、そしてフロンティアコンサルティングの社員が研究メンバーとして参画。生物多様性の理解を深めながら活動に取り組みました。その成果は、今年2月に開催された椿まつりの最終報告会で地域の有識者に報告され、貴重なフィードバックを得ています。
武蔵野美術大学 共同研究 成果発表会 レポート
WELAGOを運営する株式会社フロンティアコンサルティングは、武蔵野美術大学造形構想学部クリエイティブイノベーション学科と共に、2024年5月から「生物多様性の保全・回復における持続的な関係づくりのための対話デザイン」に関する共同研究を進めてきました。この度、その成果発表会が2025年2月22日(土)・23日(日)の2日間にわたり、WELAGO施設内で開催されました。
「Nature Positive Living Lab」の研究として活動を強化
2025年度は研究テーマを「Nature Positive Living Labの研究」として再編し、事例構築とノウハウ蓄積に向けた活動をさらに加速させます。
Nature Positive Living Lab(ネイチャー ポジティブ リビングラボ)※は、フロンティアコンサルティング社およびWELAGOが立ち上げた生物多様性に関するプロジェクトです。今回の共同研究での活動に加え、地域住民や様々なステークホルダーと連携し、島へ新たな価値創出や生態系を循環させるための多岐にわたる活動を展開していきます。
※Nature Positive Living Lab=商標の場合はフロンティアコンサルティングの登録商標です。
ネイチャー ポジティブ リビングラボ
地域の生態系と生活文化を未来へつなぐ
WELAGOがある大島椿公園には、多種多様な植物が育ち、鳥、昆虫、爬虫類といった生物も訪れています。
私たちはWELAGOを起点に、地域の生物多様性を保全・回復させる活動に取り組んでいます。また地域文化を継承しながら、そこに住む地域の人たちと共に、新たな文化の醸成にもチャレンジしていきたいと考えています。
共同研究の始動にあたり、7月8日に2025年度の共同研究キックオフミーティングを実施しました。当日は、同社の意欲あるメンバーと武蔵野美術大学の学生たちが一堂に会し、今後の方向性を共有しました。なお、本研究は武蔵野美術大学 造形構想学部クリエイティブイノベーション学科の学部生・造形構想研究科クリエイティブリーダーシップコースの院生が中心に参加していますが、昨年度に続き同学 造形学部 空間演出デザイン学科 五十嵐ゼミの学部生も参加し、学部を横断するプロジェクトとして進行していきます。
キックオフでは、武蔵野美術大学の丸山教授より、今年度の研究は以下3つのユニットに分かれて進行することが発表されました。

右:全体を統括するプロジェクトリーダー・丸山 幸伸氏(武蔵野美術大学 造形構想学部 クリエイティブイノベーション学科 教授)
左:プロジェクトオーナーの稲田 晋司氏(フロンティアコンサルティング 執行役員 / デザイン部部長
①CMD(Collaborative Material Design) – 未利用材の活用
昨年度から継続するCMDユニットは、身近な素材に新たな価値を見出すことを目指します。島内での素材収集、制作、利用、そして再利用に至るまでのプロセス全体をデザインすることで、循環型の価値創造を実現します。
昨年度に引き続き、伊豆大島に眠る未利用素材や廃棄される素材に焦点を当て、これらの素材が持つ新たな可能性を探ります。そして、自然・地域資源としての価値を最大限に引き出すことで、地域活性化に貢献していきます。

昨年度の実績(当日のスライド資料より引用)
②Q2 – キョン肉の活用による自然共生の実践
伊豆大島では、特定外来生物であるキョンの増加が、農作物や森林に深刻な影響を与えています。現在、駆除されたキョンの多くは焼却処分されていますが、このユニットではこの状況に対し「おいしく食べる」という新たな視点から活動を進めています。
キョンを食肉として活用することは島の食文化として受け入れられるのか。人間と外来種の共生の在り方を問い続け、そのプロセス自体をデザイン研究の対象としています。

昨年度の実績(当日のスライド資料より引用)
③(仮称)Future Proof – 新コンセプト開発ユニット
このユニットでは研究活動をさらに発展させるため、デザインリサーチの手法を意識しながら、改めて伊豆大島を見つめ直します。島の多様な自然と生態系を観察し、住民の声から潜在的なニーズや課題の「芽」を発掘していきます。2025年度の研究テーマに沿って、メンバーが主体的に探求する、チャレンジングなユニットです。

昨年度の研究メンバーがスケッチしたWELAGO。自然に囲まれた場には、様々な人が行き交うコミュニティが形成されています
本年度も引き続き、武蔵野美術大学とともに研究活動を進めてまいります。
今後もその様子を随時レポートしていきますので、ぜひご注目ください。

