レポート | 2024年度の武蔵野美術大との共同研究がスタート

Report
2024.08.09

こんにちは!WELAGO事務局です。
WELAGOを運営する株式会社フロンティアコンサルティングと、武蔵野美術大学造形構想学部クリエイティブイノベーション学科では、「生物多様性の保全・回復における持続的な関係づくりのための対話デザイン」に関する共同研究を今年5月からスタートさせました。

武蔵野美術大学と「ネイチャーポジティブ」を視野に入れた共同研究を開始 -テーマは『生物多様性の保全・回復による持続的な関係づくりのための対話型デザイン』-

株式会社フロンティアコンサルティング(住所:東京都千代田区、代表取締役社長:川原 邦章、以下当社)と武蔵野美術大学(住所:東京都小平市、学長:樺山 祐和)は、2024年5月から、「生物多様性の保全と回復による持続的な関係づくりの対話型デザイン」に関する共同研究を行います。

昨年11月には、「日常の側にあるワーケーション」をテーマに同学科とのプレゼミ形式で共同研究が行われました。

レポート |「日常の側にあるワーケーション」デザインプロジェクト

こんにちは!WELAGO運営事務局の大前です。今回は、昨年の11月から今年の1月にかけてIzu-Oshima Co-Working Lab WELAGOを研究拠点に実施されたデザインプロジェクト「日常の側にあるワーケーション」のレポートをお届けします。

今回は、6月末に武蔵野美術大学 市ヶ谷キャンパスにて実施した、キックオフのレポートをお届けします。

2024年は4+1のプロジェクトが始

まずはプロジェクトオーナーを務める稲田晋司氏によるプレゼンテーションからスタート。自身が所属する株式会社フロンティアコンサルティングの事業紹介や研究拠点であるWELAGOを開設した背景などをお話いただきました。

その後、武蔵野美術大学の丸山教授からプロジェクトの概要についてご説明いただきました。

2022年12月に開催された、生物多様性条約 第15回 締約国会議(COP15)では、国際的な生物多様性保護の枠組みが採択され、2030年までに陸と海の各30%を健全な生態系として保全することが目標とされています。

それに伴い、日本では、2023年から、民間企業や団体によって、生物多様性の保全が図られている土地を、『自然共生サイト認定エリア(OECM)』として認める取り組みが始まりました。

自然共生エリアに認定された場所は少しずつ増えているものの、その状態を維持するための人的・資金的リソース不足が問題となっています。

今回の共同研究は、自然との対話を考え、生物多様性の保全と回復による持続的な関係づくりを念頭に置いたものであり、働く人と働く場所の未来に寄与することを目標としています。

共同研究は秋頃にスタート予定のものを含めて5つのユニットに分かれ、助教、院生、学部生、そしてフロンティアコンサルティングの社員も加わり、まさに産学連携で研究を進めます。今回はその中から4つのユニットの概要を各リーダーから、説明していただきました。

対極的なイメージと比較することから、ネイチャーポジティブを紐解く

まずは、NPXユニットから。プロジェクト名であるNPXは、「Nature Positive Experience」の略です。

ユニットリーダーであり同学科・助教を務める若狭さんが初めて大島を訪れたときのエピソードが企画の根幹にあります。
人が立ち入らない植物の生い茂った道路を見つけたとき、廃れた状態に見えるものの、別の視点では、自然に還っている状態にも見えたのだそう。そして「ネイチャーポジティブ」の意味を感覚で感じつつ、相反する「ネガティブ」の感覚にも興味を持つようになったのだとか。

「ネイチャーポジティブ」とは、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せること、反対に「ネイチャーネガティブ」は、すさまじい速度で生物が絶滅している状態だと若狭さんは考えます。この相対するキーワードを軸に、都会で生活する方と島民の方が、自然に対して「ポジティブ」だと感じるコト、「ネガティブ」だと感じるコトをインタビューを通して収集し、比較や分析を行っていくのだそう。

現時点では、「ネイチャーポジティブ」「ネイチャーネガティブ」の認識に作用する因子を明らかにしていくことで、自然共生の更なる一歩を目指していくようです。ネイチャーポジティブについての解像度が上がれば、具体的なアクションにもつながりますね。
どのような研究結果が出るのか楽しみです!

WELAGOで小さな循環を生み出した

次に、若狭さんと同じく同学科の助教を務める、CMDチームのユニットリーダー、郡さんから、プロジェクトの概要について説明していただきました。
CMDとは「Collaborative Material Design」の略です。大島でモノを輸送する際、どうしても費用が高くなってしまう、その問題を解消するためのアイデアとして、島内で小さな循環を生み出すことが必要だと考えました。

島には数多くの自然資源が存在する一方で、海岸沿いにはペットボトルなど様々なゴミが流れ着いている姿も。
そこで、自然資源も不要となったゴミも含めて、大島に存在する様々な素材を活用した研究を進めることにしたそうです。また、WELAGOの周辺には、椿の花びらや殻、松ぼっくり、桜の木など自然の素材が拾えることが事前リサーチで訪問した際にわかりました。

郡さんは、滞在時に拾った素材で既にいくつかの実験をし、中には椿の灰を材料として制作し、それを乾燥させたものから新たな素材が出来上がりそうだとの報告もありました。

現在はアップサイクルで生まれた素材から、ファッションアイテムを制作することをゴールの一つに設定しているとのことです。
今後の進展が楽しみです!

大島で新たな食文化を醸成させる

次に、Q2チームの内容について、佐藤さんから概要を説明していただきました。佐藤さんは同学科の大学院にあたる、クリエイティブリーダーシップコースに通う社会人学生です。

Q2の由来は「キョン(Q)を食う(Q)」から来ているのだそうです。

大島では、外来生物の「キョン」の大繁殖により、島の特産である明日葉や他の農作物が食い荒らされるという食害問題を抱えています。そして現在、キョンの駆除は進められていますが、食用としては使うことはあまり一般的ではないようです。実はキョンを高級食材として扱う国もあります。もし、大島のキョンも駆除するだけでなく、食べる文化をつくることができたら、大島の新たな価値になるかもしれません。

目標は、現在の大島の正しい生態系や新しい食文化をつくること。
難しい課題ではありますが、とてもやりがいがありそうですね!

島の夜ならではのコンテンツを提案

最後に、「HOSHIGOTO」プロジェクトについて丸山教授から概要をご説明いただきました。

大島では19時を過ぎると、スーパーなどの店舗が閉まり、飲食店も都心部と比べて早い時間に店じまいしてしまいます。車も少なくなりますが、そのおかげで静かな夜を過ごすことができます。
一方で、ワーケーションで来られた方が都心部と同じ感覚でいると、ご飯難民になったり、島の夜の過ごし方がわからず、真っ直ぐ宿へ向かうだけ、というケースが生まれてしまいます。
“大島まで来たのに、そんな過ごし方はもったいない!何か、島の特徴を活かした夜のコンテンツを企画できないか”と考えたのが、HOSHIGOTO発案のきっかけです。

プロジェクトのキーとなるのが蓄光顔料。日中の太陽や室内の光を蓄え、暗闇では発光する性質を持っています。もともとは、昨年度のWELAGOとの共同研究に参加した学生が考案したプランですが、今回は新たなメンバーを募り、アップデートさせようという計画です。

仕事が終われば、大島ならではの夜の企画を体験できるなんて、頑張った自分への最高のご褒美になりますね!

プロジェクトに向けて一致団結

発表後は懇親会を開催し、ユニットごとに分かれてこれからの活動を確認したり、メンバー同士で交流を深めたりと、会話に花を咲かせました。初めての顔合わせとなったため、最初は緊張感がありましたが、懇親会では皆さんがすっかり打ち解けた雰囲気に。プロジェクトに向けて一致団結することができました。

最後に、キックオフ&懇親会のご準備をしていただいた武蔵野美術大学の皆さま、本当にありがとうございました。
今後は各プロジェクトの進捗についてもレポートする予定ですので、楽しみにしていてくださいね!

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