WELAGO開所1年目を振り返り、来年に向けた展望を考える
2023年5月18日にIzu-Oshima Co-Working Lab WELAGOを開所して7ヶ月が過ぎました。おかげさまで島内外より様々な方々にご利用いただいております。今回は施設運営に付随した多種多様なイベントや企画の実施を通じて、“多働海域コミュニティ”としての取り組みの幅を広げているWELAGOの開所1年目を振り返ります。
利用者数について
開所からこれまでの合計利用者数は856名、施設見学者数は135名でした。
リピーターの利用者も増えてきており、利用者数は着実に増加傾向にあります。例えば、気分を一新するために普段のオフィスを抜け出しWELAGOで仕事をする島内の企業に勤められている方や、大島滞在時のワークスペースとして利用される二拠点居住の方、資格取得に向けた勉強の為に利用される方や、保育園のママさんたちの集まりで利用される方、そして会合に利用される地域の婦人会の方などなど、様々な用途にご利用いただいております。
今後も皆さんにとって使い勝手の良い快適なスペースとなるよう随時アップデートして参りますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。
WELAGO主催イベントを振り返る
WELAGOでは開所当初より、コミュニティづくりのアクションの一つとしてワークショップを中心とした創発イベントを企画・実施してきました。ざっとこれまで実施してきたイベントを振り返ってみます。
Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGOにて開催したイベント
- 『都市と地方の共存社会を考えて『未来のあり方』を描くワークショップ』2023年6月23日開催
- 『都市と地方の共存社会での“居場所”のデザイン』2023年7月21日開催
- 『都市と地方の共存社会を考えて「自らの価値観」を発見するワークショップ』2023年8月17日開催
また、東京諸島に関心のある方を対象としたミートアップ『san-bashi』を東京大手町のOTEMACHI KORTOにて実施、よりカジュアルに島の情報に触れる機会や交流の機会をつくることで誰もが気軽に参加できる場を提供しました。
OTEMACHI KORTOにて開催したイベント
- 東京諸島好きが集まるMeetup『san-bashi #1』2023年9月22日開催
- 東京諸島好きが集まるMeetup『san-bashi #2』2023年11月22日開催
- 『地域への“まなざし”研究ワークショップ』2023年12月14日開催
「san-bashi #1」開催レポート
東京諸島に関心のある方々が気軽に集まり、情報交換できる場として、船と島をつなぐ「桟橋」のように東京諸島について「知りたい人」と「伝えたい人」をつなぐミートアップイベント「san-bashi #1」の開催レポートをお届けします。
東京諸島好きが集まるMeetup「san-bashi #2」開催レポート
第2回目の実施となった今回の「san-bashi」では、最近さまざまな場面で活用が進んでいるweb3.0領域やNFTをテーマとしたカンバセーション「島 × NFT」を開催しました。
WELAGOを会場としたその他のイベントを振り返る
続いて、WELAGOを会場としたその他のイベントを振り返ります。
自由で、多様で、地域と福祉の架け橋をつくるような新しい働き方、採用のあり方を、皆さんとともに考え、社会に実装していくプロジェクト「Work in Local × Social」さんにワークショップ会場として2023年7月10日にご利用いただきました。
「半福半X」が目指すのは、多様な「らしさ」が重なり合う社会|伊豆大島ツアー&ワークショップ 2023 Summer レポート・後編
その地域で、だれかの「自分らしい暮らし」を支える仕事をしながら、自らも「自分らしい暮らし」を副業的に実践する。そんな「半福半X」のライフスタイルを模索する新たなプロジェクト「Work in Local & Social」の伊豆大島ツアーが、7月9日、10日の2日間にわたって繰り広げられました。
スタートアップ企業等の斬新なアイデアや優れた技術を活用して島しょ地域の振興を促進するために、東京都主催による事業『TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS』の現地見学初日のオリエンテーリング・懇親会会場として2023年10月2日にWELAGOをご利用いただきました。
島の課題を挑戦と愛の力で「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」
斬新なアイデアや優れた技術を活用して島しょ地域の振興を促進する「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」。今回は事業の入り口となる現地見学の様子をレポート。
多摩・島しょ地域において、東京ならではの自然エリアに注目し体験型・交流型の新たなツーリズムを開発するプロジェクト「NATURE TOKYO EXPERIENCE」の一環で「体験型・交流型の新たなアクティビティを島しょ地域で考える『REGENERATIVE-未来へつなぐ旅の兆し」ワークショップ及びパネル展示を株式会社TIAM主催・企画により実施しました。
体験型・交流型の新たなアクティビティを島しょ地域で考える 「REGENERATIVE―未来へつなぐ旅の兆し」ワークショップレポート
「東京」というと、「高層ビルがそびえるビジネスの中心地」というイメージを抱く方が多いかもしれません。けれども、東京の多摩地域や島しょ地域は自然資源や地域資源に恵まれており、それらに根差した土地の歴史、文化が息づいています。そのような魅力を発信するコンテンツとして、地域社会に貢献できるような体験型・交流型のツーリズムが求められています。
東京都による東京多摩島しょ暮らし体験ツアーにおける大島町暮らし体験ツアーにおいて、Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGOをワーケーション体験施設としてご利用いただきました。
2023年9月28日・29日、12月13日・14日実施
コワーキング施設としての一般利用の他にもWELAGO主催によるイベントはもちろん、行政をはじめとした様々な機関・団体様に各種イベントの会場としてご利用いただきました。こうして振り返ってみるとWELAGOがあらためて多くの可能性に満ちた拠点であることが実感できます。また、世界的大都市である東京の島において、都市と地方の共存社会を考えていくにあたってWELAGOが担う役割は大きいと感じています。さらに、今後は地球規模で拡大する気候変動や環境問題に対しても積極的にアプローチしていくことで、社会的意義のある活動にもチャレンジしていければと考えています。
来年に向けて考える
さて、そんな意気込みもあって、先日5年ぶりに開催されたエシカルフェスタに行ってきました。そのなかから参考になった取り組みをいくつかご紹介したいと思います。
エシカルフェスタは一般社団法人エシカル協会が聖心女子大学グローバル共生研究所との共催により開催されたイベントで、エシカルな生産や消費、ライフスタイルを考え、発信するために開催しているイベントです。ちなみに、エシカルとは、人や社会、地域、環境などに優しいモノを購入する消費行動やライフスタイルを指し、自分以外の他社や地域社会、自然環境などを思いやる、「思いやり消費」、「応援消費」とも言えるライフスタイルです。
ご存知のとおりこれからの社会や未来を考えるにあたって、自己中心的な欲求やニーズ、成長を満たすことに注力する社会は限界をむかえています。誰もがより広い視野を持ち、自分を取り巻くさまざまな環境やその先に広がる関係性を意識するとともに、将来世代へと引き継いでいくための責任を個々が果たすべく、選択・消費していく姿勢がとても大切だと思っていて、エシカルというライフスタイルは今後多くのシーンで浸透してくるひとつの考え方なのではないかと思います。
さて、こちらのイベントに出店されていた企業や団体の方々の取り組みや商品を拝見することで、これからの社会や未来を考えるための多くのヒントやアイデアに出会うことができました。例えば、食品廃棄物を自然染料として再活用する「FOODtextile」さんの取り組みは、年間13億トン(日本国内では年間約2800万トン)、生産された食料品の約30%が捨てられているという食品業界における現実と、トレンドの移り変わりが激しいファッション業界において日本だけでも年間100万トン、およそ33億着の服が捨てられ、その大半が化学染料によって染色されており、環境汚染に繋がっているという現実。そんな現実を変えていきたいという思いで食品メーカーからの廃棄食材を回収して染料として再活用する仕組みをつくり、地球環境に配慮した持続可能な取り組みをはじめたサスティナブルなプロジェクトです。自然染料は人を安心させたりリラックスさせる効果があると言われていて、ナチュラルな色合いや肌触りの良い風合いは着心地も良さそうで、身につけることで自身のライフスタイルがより豊かになるとともに環境や社会にも貢献できる、素敵な取り組みです。
もう一つ、市民エネルギーちば株式会社さんはソーラーパネルを使った市民発電所をベースとしたソーラーシェアリングを通じて、農業と発電事業を両立させ、地域社会に貢献するとともに化石燃料から太陽光にシフトすることで、発電に伴うCO2削減や農作物による光合成によってCO2を減らしていく取り組みを行っています。また、パネルの下で行う農業は、有機農法に徹しており、微生物との共生から生態系を守り育むことにつなげていて、環境保全型農業のさらに先をいく“不耕起栽培”という取り組みを進めています。耕して雑草を取ることをあえてしないことで、土壌の生物多様性を保ち、自然本来の機能を取り戻していく、そんなリジェネラティブ(環境再生)な活動を行っていて大いに共感するとともに、実際に活動を進めているところに大きな感心を抱きました。
WELAGOにおいてもそのような取り組みを生み出していけるように引き続き活動を進めていきたいと思えるそんなイベントでした。例えば、WELAGOはワークスペースであり、インターネットやノートPCを使うことで日々電力を消費しています。そこで、WELAGOの大きい屋根にソーラーパネルを設置し、施設内電力にあてられたら環境負荷は低減され、利用者は自然エネルギーを活用して仕事をしている実感が得られ、より自然環境に対して意識を向けるきっかけになるかもしれません。エシカルフェスタで見た様々な取り組みのように複数の課題の解決に導くような取り組みはすぐには生まれないかもしれませんが、引き続き意識し続けることでアイデアは花開くもの。今後考えていく姿勢やモチベーションが得られたことは大きかったです。
今後はエシカルフェスタで拝見したような社会的意義の高い取り組みを生み出していくことが当面の目標だと個人的には考えています。WELAGOでの取り組みから島しょ地域の未来へとつながる活動が生まれてくることで、関わる人々が自己実現や貢献実感を強く感じながらポジティブな姿勢で前へと進める場を目指す。まだまだスタートしたばかりですが、引き続きビジョンは大きく、取り組みはコツコツ地道に、メンバーの皆さんとともに取り組んでいきたいと思います。
Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGOが日本空間デザイン賞2023LongListに入選しました。
最後にご報告です。Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGOが「日本空間デザイン賞2023」Longlistに入選しました。
日本空間デザイン賞は、2019年に設立された日本最大級の空間デザインアワードです。国内外の優秀なデザイナーや、卓越したデザイン作品を発掘し、評価することを目的としていて、空間デザインの価値を未来へ繋いでいくために設立されました。
今回入賞こそ逃しましたが、WELAGOはまだまだスタートしたばかり。今後の期待を込めての入選と心得て来年から心機一転、サスティナブル拠点として大きく羽ばたいていければと思います。
スタートとなった2023年はたくさんの方々にご協力・応援いただきました。あらためまして感謝申し上げます。来年は少しずつ皆さまに還元できるよう引き続きWELAGOメンバー一同、精進していきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。